2012年3月29日木曜日

第55回全国大会:実行委員長の言葉


実践経営学会第55回全国大会のご案内
統 一 論 題
グローカリゼーションにみる実践経営の新地平
~祭りと実践経営~
大会実行委員長  伊佐 淳(久留米大学経済学部教授)
2012329

 昨年、本学会の平野文彦会長から「“小売業は祭りの世界”という話を聞いているが、これは実践経営の世界に広く通用する真理の一つかもしれない。この学会の場で議論する機会はないものか」と問いかけられました。地域経済社会論を研究の出発点としている私は、なるほど、地域活性化の担い手たる地域企業の経営者と祭りとの間には関係がありそうだと、直感しました。
私見では、人々は祭りを通じて、地域における助け合い(共助)や地縁を再認識し、そこから地域文化を継承しつつ、地域に根ざした絆やもやい結びを意識するのではないかと思われます。一方で、グローバル化の影響をますます受けるようになってきた地域企業にとって、地域の人々や文化やさまざまな資源に根ざした「グローカリゼーション(glocalization)」の考え方が重要度を増してきていると言えます。また、個々の企業経営の面から見ても、祭りから見出せるものは、極めて大きいといえるのではないでしょうか。祭りの運営過程(企画・検討・実施・反省)は、企業経営でいうPDCAサイクルにあたるでしょうし、祭りの参加者・関係者のモチベーションの維持・向上と企業経営のそれとの共通するものもありそうです。成功する祭りの本質を考えることで、企業経営の本質に迫ることができるかもしれません。
そこで、記念すべき第55回大会を久留米で開催し、その議論の場を提供することにいたしました。会員の皆様の自由闊達なご議論の展開を期待しております(大会の回数もGo Go と読めます)。因みに、実行委員を買って出られた会員諸氏は、皆さんお祭り好きな方々なのだろうと思います。
 実行委員会では、統一論題の議論のために3本の柱を立てました。第1の柱は、初日のエクスカーションです。統一論題のテーマを考えるにふさわしいユニークな経営の現場を訪ね、経営者の企業経営に対する考え方(“ものづくりは演歌だ”など)や手法をうかがいます。第2の柱は、2日目の特別講演です。社長自ら農林漁業の現場へ飛び込み、地元生産者とネットワークを構築していくことで、関係者全てが“Win-Win”の関係になるような仕組み作りを実践されています。まさに“経営は祭りだ”を地で行くように、自社事業を繁栄に導いておられる地元の異色経営者の講演です。お二人の経営者共に筑後地域(久留米市を中心とした福岡県南部)の地域産業である第1次産業を軸に据えた「グローカル経営」を実践されていることが共通点となっています。そして第3の柱は、伝統ある久留米市の一大イベント「41回水の祭典・久留米まつり」毎年835日に開催)です。市中心部の明治通りや六角堂広場で市民あげて行われるマーチングやストリート・パフォーマンス、「1万人のそろばん総踊り」など、さまざまなイベントが繰り広げられます。祭りの締めくくりは、西日本最大級といわれる「筑後川花火大会」です。実行委員がご堪能いただける場所へご案内いたします。そのためには大会3日目・85(日)の夜も久留米にご宿泊いただかなければなりませんが、それだけの価値は十分にあるはずです。今からならリーズナブルなホテルの予約も可能です。また、昨年の312日に九州新幹線が全線開通となりました。広島以西であれば、花火を見てからでも帰ることができます。是非、会員お一人お一人の目で、耳で、そして心で感じ取っていただきたいと思います。
これまでとはずいぶん雰囲気の異なった大会になりそうですが、多くの会員にお集まりいただき、実践経営学会の名にふさわしく、実践の場から多くのことを学び合う大会にしたいと考えております。

大会実行委員一同、心よりお待ち申し上げております。